熱中症とは

「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、循環調節や体温調節などの体内の重要な調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称です。
症状として、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温などが現われます。

熱中症の症状と分類

熱中症にはさまざまな症状が現れますので、それぞれに病名がつけられています。

熱失神 暑熱環境下で皮膚血流の著しい増加と多量の発汗とにより、相対的に脳への血流が一時的に減少することにより生ずる立ちくらみが起きる
熱けいれん 汗で失われた塩分が不足することにより生ずる筋肉のこむら返りや筋肉の痛みが出る
熱疲労 脱水が進行して、全身のだるさや集中力の低下した状態をいい、頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐などが起こる
熱射病 「熱疲労」を放置した状態。中枢神経症状や腎臓・肝臓機能障害、さらには血液凝固異常まで生じた状態のことで、普段と違う言動やふらつき、意識障害、全身のけいれん(ひきつけ)などが現れる

ただし、実際の現場では、これらの状態が混在して発生するので、熱中症が発生した時には、重症度にしたがって分類しています。最新の熱中症診療ガイドライン2024では、これまでⅢ度(2015)としてきた重症群の中に、さらに注意を要する最重症群があり、この最重症群を「Ⅳ度」として同定し、Active Coolingを含めた集学的治療を早急に開始することを提唱されています。併せて、深部体温の測定なしでも重症を予測する基準として「qⅣ度」を提唱して、深部体温測定を推奨することとしています。

熱中症の症状と治療(日本救急医学会『熱中症診療ガイドライン2024』より)

※横にスクロールします

重症度 症状 治療

Ⅰ度

めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り、意識障害を認めない 通常は現場で対応可能

Passive Cooling、不十分ならActive Cooling、経口的に水分と電解質の補給

Ⅱ度

頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力や判断力の低下(JCS≦1) 医療機関での診療が必要

Passive Cooling、不十分ならActive Cooling、十分な水分と電解質の補給(経口摂取が困難なときには点滴にて)

qⅣ度

表面体温40.0℃以上(若しくは皮膚に明らかな熱感あり)+GCS≦8(もしくはJCS≧100【深部体温測定は不要】)
  • 早急に深部体温を測定して、重症度を判断
  • Active Coolingを含めた早期開始
深部体温
39.9℃以下

Ⅲ度

2024
下記の3つのうちいずれかを含む
  • 中枢神経症状(意識障害JCS≧2、小脳症状、けいれん発作)
  • 肝・腎機能障害(入院経過観察、入院加療が必要な程度の肝または腎障害)
  • 血液凝固異常(急性期DIC診断基準(日本救急医学会)にてDICと診断)
入院治療の上、Active Coolingを含めた集学的治療を考慮する。
深部体温
40.0℃以上

Ⅳ度

深部体温40.0℃以上かつGCS≦8 Active Coolingを含めた早急な集学的治療

用語

Active Cooling 何らかの方法で、熱中症患者の身体を冷却すること。
熱中症診療ガイドライン2015 では、「体温管理」「体内冷却」「体外冷却」「血管内冷却」「従来の冷却法(氷囊、蒸散冷却、水冷式ブランケット)」「ゲルパッド法( Arctic Sun® ,Medivance)」「ラップ法(水冷式 冷却マットで体幹および四肢を被覆する;Gaymer Medi-Therm® , Gaymar)」などと記載されていたのを「Active Cooling」に包括的に記載を統一する。
ただし、Passive Cooling(冷蔵庫に保管していた輸液製剤を投与することや、クーラーや日陰の涼しい部屋で休憩すること)は含まない。
従来のActive Cooling Active Cooling のうち、高度な体温管理機器を用いない冷却方法であり、冷水浸水 (Cold water immersion) 、蒸散冷却(evaporative plus convective cooling)、胃洗浄(Cold watergastric lavage)、膀胱洗浄(Cold water bladder irrigation)、局所冷却(Ice packs)があげられる。
Passive Cooling 冷蔵庫に保管していた輸液製剤を投与することや、クーラーや日陰の涼しい部屋で休憩すること。熱中症診療ガイドライン2015 では「冷所での安静」と記載されていた。

熱中症者への対応

熱中症が疑われる人を見かけた場合の対応手順を紹介します。その人の状態やその場の環境によりますが、まず下記の手順で応急処置を行いましょう。

①意識を確認する。意識がはっきりしていなければただちに救急隊を要請

②意識がはっきりしている場合は

  • 涼しい場所(エアコンの効いた室内、風通しの良い日陰など)へ避難させる
  • 衣服をゆるめ、からだを冷やす(特に首の回り、脇の下、足の付け根など)
  • 水分・塩分、経口補水液(水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの)などを補給する自力で水分がとれなければ、ただちに救急隊を要請

熱中症の発生状況(2015~2024年)

職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数(以下合わせて「死傷者数」という。)は、令和6年(2024年)に1,195人となった。うち死亡者数は30人となっている。

職場における熱中症による死傷者数の推移(2015~2024年)

※横にスクロールします

(人)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
464
(29)
462
(12)
544
(14)
1,178
(28)
829
(25)
959
(22)
561
(20)
827
(30)
1,106
(31)
1,195
(30)

※2024年の件数は2025年1月7日時点の速報値である。

※( )内の数値は死亡者数であり、死傷者数の内数である。

職場における熱中症による死傷者数の推移

熱中症の業種別発生状況(2020~2024年)

2020年以降の業種別の熱中症の死傷者数をみると、建設業、次いで製造業で多く発生していた。

2024年の死亡災害については、建設業において8件と最も多く発生していた。

熱中症による死傷者数の業種別の状況(2020~2024年)

※横にスクロールします

(人)

業種 建設業 製造業 運送業 警備業 商業 清掃・
と畜業
農業 林業 その他
2020年 215
(7)
199
(6)
137
(0)
82
(1)
78
(2)
61
(4)
14
(1)
7
(0)
166
(1)
959
(22)
2021年 130
(11)
87
(2)
61
(1)
68
(1)
63
(3)
31
(0)
14
(2)
7
(0)
100
(0)
561
(20)
2022年 179
(14)
145
(2)
129
(1)
91
(6)
82
(2)
58
(2)
21
(2)
6
(0)
116
(1)
827
(30)
2023年 209
(12)
231
(4)
146
(1)
114
(6)
125
(3)
61
(0)
27
(4)
9
(0)
184
(1)
1,106
(31)
2024年 216
(8)
227
(6)
186
(6)
136
(2)
113
(2)
72
(2)
29
(1)
10
(0)
206
(3)
1,195
(30)
949
(52)
889
(20)
659
(9)
491
(16)
461
(12)
283
(8)
105
(10)
39
(0)
772
(6)
4,648
(133)

※2024年の件数は2025年1月7日時点の速報値である。

※()内の数値は死亡者数で内数である。

熱中症による業種別死傷者数の割合(2020~2024年計)
熱中症による業種別死傷者数(2020~2024年計)

月・時間帯・年齢別発生状況(2020~2024年)

1.月別発生状況

2020年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、全体の約8割が7月及び8月に発生していた。

熱中症による死傷者数の月別の状況(2020~2024年)

※横にスクロールします

(人)

4月
以前
5月 6月 7月 8月 9月 10月
以降
2020年 2
(0)
16
(1)
85
(0)
115
(4)
651
(16)
84
(1)
6
(0)
959
(22)
2021年 4
(0)
7
(1)
41
(0)
213
(7)
269
(12)
20
(0)
7
(0)
561
(20)
2022年 2
(0)
14
(0)
184
(10)
291
(9)
280
(10)
46
(1)
10
(0)
827
(30)
2023年 5
(0)
21
(0)
63
(1)
431
(18)
493
(10)
86
(2)
7
(0)
1,106
(31)
2024年 2
(0)
17
(0)
54
(0)
561
(17)
408
(12)
151
(1)
2
(0)
1,195
(30)
15
(0)
75
(2)
427
(11)
1,611
(55)
2,101
(60)
387
(5)
32
(0)
4,648
(133)

※2024年の件数は2025年1月7日時点の速報値である。

※4月以前は1月から4月まで、10月以降は10月から12月までを指す。

※()内の数値は死亡者数で内数である。

熱中症による月別死傷者数(2022~2024年計)
熱中症による業種別死傷者数(2020~2024年計)

2.時間帯別発生状況

2020年以降の時間帯別の熱中症の死傷者数をみると、15時台が最も多く、次いで11時台が多くなっていた。なお、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも散見された。

熱中症による死傷者数の時間帯別の状況(2020~2024年)

※横にスクロールします

(人)

9時台
以前
10時台 11時台 12時台 13時台 14時台 15時台 16時台 17時台 18時台
以降
2020年 104
(2)
102
(3)
119
(0)
86
(3)
73
(4)
116
(3)
124
(2)
92
(4)
61
(0)
82
(1)
959
(22)
2021年 48
(0)
56
(1)
74
(3)
53
(4)
47
(3)
63
(3)
73
(0)
61
(3)
38
(3)
48
(0)
561
(20)
2022年 100
(1)
78
(3)
87
(1)
53
(3)
74
(2)
115
(3)
106
(6)
92
(2)
55
(5)
67
(4)
827
(30)
2023年 143
(4)
118
(2)
155
(6)
104
(1)
72
(0)
124
(5)
123
(2)
105
(1)
76
(8)
86
(2)
1,106
(31)
2024年 155
(3)
122
(1)
129
(1)
92
(2)
86
(0)
130
(3)
156
(7)
119
(7)
97
(3)
109
(3)
1,195
(30)
550
(10)
476
(10)
564
(11)
388
(13)
352
(9)
548
(17)
582
(17)
469
(17)
327
(19)
392
(10)
4,648
(133)

※2024年の件数は2025年1月7日時点の速報値である。

※9時台以前は0時台から9時台まで、18時台以降は18時台から23時台までを指す。

※()内の数値は死亡者数で内数である。

熱中症による時間帯別死傷者数(2020~2024年計)

3.年齢別発生状況

2020年以降の年齢別の熱中症の死傷者数をみると、全体の約5割が50歳以上となっていた。

熱中症による死傷者数の年齢別の状況(2020~2024年)

※横にスクロールします

(人)

19歳
以下
20~
24歳
25~
29歳
30~
34歳
35~
39歳
40~
44歳
45~
49歳
50~
54歳
55~
59歳
60~
64歳
65歳
以上
2020年 24
(0)
54
(0)
51
(0)
56
(1)
82
(2)
87
(5)
134
(2)
123
(4)
105
(2)
93
(3)
150
(3)
959
(22)
2021年 12
(1)
46
(0)
25
(0)
41
(0)
36
(2)
53
(2)
69
(3)
65
(3)
70
(4)
58
(1)
86
(4)
561
(20)
2022年 10
(0)
39
(2)
72
(1)
62
(3)
69
(1)
72
(1)
103
(5)
93
(3)
94
(4)
87
(3)
126
(7)
827
(30)
2023年 20
(0)
80
(2)
71
(2)
48
(0)
88
(1)
90
(6)
122
(1)
136
(4)
133
(4)
120
(4)
198
(7)
1,106
(31)
2024年 17
(0)
65
(1)
88
(0)
67
(0)
85
(1)
103
(4)
106
(4)
156
(4)
168
(8)
129
(3)
211
(5)
1,195
(30)
84
(1)
284
(5)
307
(3)
274
(4)
360
(7)
405
(18)
534
(15)
573
(18)
570
(22)
487
(14)
771
(26)
4,648
(133)

※2024年の件数は2025年1月7日時点の速報値である。

※()内の数値は死亡者数で内数である。

熱中症による年齢別死傷者数の割合(2020~2024年計)

2024年の熱中症による死亡災害の事例

【死亡災害全体の概要】

  • 総数は30件で、被災者は男性27件、女性3件であった。
  • 発症時・緊急時の措置の確認・周知していたことを確認できなかった事例が21件あった。
  • 暑さ指数(WBGT)の把握を確認できなかった事例が26件あった。
  • 熱中症予防のための労働衛生教育の実施を確認できなかった事例が15件あった。
  • 糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病や所見を有している事が明らかな事例は18件あった。

【事案の詳細】

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番号 業種 年代 気温
(注2)
暑さ指数
(WBGT)
(注3)
事案の概要
1 7 その他の金属製品製造業 20歳代 34.6℃ 30.5℃ 被災者は工場内で作業に従事していたが、14時頃に体調不良のため早退することとなり、更衣室に向かった。16時過ぎに同僚が更衣室に入ったとき、倒れている被災者を発見し、救急搬送されたが死亡した。
2 7 陸上貨物取扱業業 30歳代 33.2℃ 28.9℃ 被災者は事業場倉庫内1階で電線ドラムのピッキング作業に従事していた。16時30分頃、倉庫北側ホームを通行中にうつ伏せに転倒し、意識を失い痙攣をおこした。倒れている被災者を発見し救急搬送され、集中治療室で治療を受けるが、翌日に死亡した。
3 7 その他の土木工事業 40歳代 32.1℃ 不明 被災者は9時頃から校庭の土間打ちの作業のため、セメント等の袋を運搬する作業に従事していた。12時前、休憩室において、被災者が別の労働者に突然殴りかかり、奇声を上げ、その後痙攣を起こしため、救急搬送された。搬送先の病院にて処置が終わり、自宅に帰宅した後、再び痙攣を起こし、別の病院に救急搬送されたが、搬送先の病院で同日に死亡した。
4 7 その他の事業 40歳代 30.8℃ 30.9℃ 被災者は廃棄物処理施設新設工事現場で、施設の性能試験を行うためのサンプリング作業を行っていた。14時から施設内でサンプリング作業を開始し、16時40分頃から不織布の保護衣、防じんマスクを着用し、約1時間かけてごみのサンプリング作業を終えたところ、体調が悪化し、ろれつが回らなくなったため救急搬送されたが、同日に死亡した。
5 7 産業廃棄物処理業 40歳代 34.0℃ 31.4℃ 被災者は9時から倉庫内でペットボトルの選別作業を行っていた。適宜休憩を取りながら作業していたが、15時30分頃、作業場所で前のめりになって動かない被災者を発見し、救急搬送されたが、搬送先の病院で6日後に死亡した。
6 7 産業廃棄物処理業 40歳代 不明 不明 被災者はごみ焼却施設の管理を行っており、21時頃まで、粗大ごみ処理施設内の粗大ごみ前処理装置のごみの詰まりをバール等を用いて手作業で取り除く作業を行っていた。業務終了後駐車場に駐車中の自家用車内で休憩をとっていたところ、車内で死亡した。
7 7 農業 40歳代 37.0℃ 不明 被災者はねぎを栽培する畑において7時頃から適宜休憩を取りつつ草むしり等を行っていた。作業終了後の17時15分頃に体調が悪くなり、病院へ搬送されたが、11日後に死亡した。
8 7 その他の事業 40歳代 33.4℃ 31.9℃ 被災者は道路の測量等の業務を行っており、8時頃から測量作業を始めた。11時20分頃、急に気分が悪くなったことから、社用車に乗せられて会社に戻ったうえで水分補給や身体冷却等を行ったが、痙攣したことから救急搬送されたが、発症から18日後に死亡した。
9 7 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 50歳代 37.℃ 31.5℃ 被災者は8時30分から、鉄筋の圧接作業に従事していた。15時40分頃、歩行が困難となる等の症状となり、救急搬送されたが、同日に搬送先の病院で死亡した。
10 7 その他の金属製品製造業 50歳代 29.5℃ 不明 被災者は工場内にて溶接作業を行っていた。作業中、体調不良となり休憩室にて休憩していたが、改善しなかったため16時過ぎに病院を受診。その後、死亡した。
11 7 新聞販売業 50歳代 30.0℃ 27.7℃ 被災者は新聞配達業務を行っていたが、5時50分頃マンションの階段踊り場にて倒れていたところを当該マンションの住人に発見された。救急搬送され、翌日死亡した。
12 7 クリーニング業 50歳代 31.0℃ 32.3℃ 被災者はクリーニング工場で作業中、10時頃体調が悪くなり、熱中症の疑いがあったことから保冷剤・経口飲料を渡して横になっていたが、水分補給が難しい状態となったことから12時頃に工場長に病院へ搬送され、入院したが、翌日死亡した。
13 7 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 50歳代 33.5℃ 29.4℃ 被災者は建物屋上で防水シート貼付け作業を終日行い、18時頃終業後に忘れ物を取りに屋上へ行った。被災者がしばらく戻らなかったため探しに行ったところ、足場の手すりに寄りかかり意識を失っていた状態で発見され、救急搬送されたが、その後死亡した。
14 7 一般貨物自動車運送業 50歳代 36.0℃ 32.9℃ 被災者は長距離の貨物輸送を行っており、10トントラックへ建設資材の積み込み作業等を行っていたが、12時45分頃にトラック荷台の荷の上で意識を失って倒れている状態で発見され、その後、救急搬送されたが、7日後に死亡した。
15 7 一般貨物自動車運送業 60歳代 35.7℃ 31.1℃ 被災者は段ボールの配送業務を行っていた。16時30分頃に配送先から帰社した。その後、22時50分頃に警備会社の労働者が事業場の施錠確認のために定刻の訪問巡視を実施した際、フォークリフト横に仰向けに倒れていた被災者を発見した。救急隊が到着した時点で、死亡していた。
16 7 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 70歳代 30.8℃ 31.1℃ 被災者は7時から工事現場で資材の片づけを行っていたところ、作業開始後30分程で倒れ、救急搬送されたが、死亡した。
17 7 電気通信工事業 70歳代 33.1℃ 30.5℃ 被災者は11時30分頃から工場の天井照明の取替作業をしていたが、13時頃体調が悪くなり冷房の効いた車内で休憩し、会社に熱中症の症状であると連絡をした後、会社まで車を運転して戻り、冷房の効いた車内で休憩をしていたが、14時45分頃意識を失い救急搬送されたが死亡した。
18 8 陸上貨物取扱業 40歳代 39.3℃ 33.5℃ 被災者は8時から倉庫内で自動車部品の容器への詰め替え作業に従事し、15時の休憩時に手の震えや休憩所周囲で座り込む様子が確認された後、屋外へ出て走っていたところ側溝部分で足を取られ転倒した。口から泡を吹きいびきをかいたような状態であったため、救急搬送されたが2日後に死亡した。
19 8 警備業 50歳代 34.4℃ 32.6℃ 被災者は片側交通規制の交通誘導を行っていた。16時頃当日の業務を終えて自家用車で帰宅していたところ、現場から50mほど先の民家に衝突する交通事故を起こした。意識があったものの救急搬送され、搬送先の病院で同日死亡した。
20 8 造船業 50歳代 32.8℃ 30.2℃ 被災者は工場敷地内に仮置きされた船体ブロック上で、資材の運搬作業を行っていた。作業中の14時20分頃に突然倒れたため、救急搬送したが、翌日に死亡したもの。
21 8 その他の土木工事業 50歳代 33.5℃ 30.2℃ 被災者は資材等の片付け作業に従事していたが、16時20分頃に様子がおかしいことに気付いた職長が声掛けをしても返答がなく苦しそうにしていたため、救急搬送されたが、26日後に死亡した。
22 8 警備業 50歳代 33.2℃ 32.2℃ 被災者は交通誘導業務を行っていたが、15時頃に気分が悪くなり、その場で倒れた。救急搬送され、処置が行われたが、翌日に死亡した。
23 8 パン、菓子製造業 50歳代 35.4℃ 32.4℃ 被災者は焼き上がったパンを窯から取り出すラインにて常時作業を行っていた。終業時刻である16時頃、事業場内で被災者が倒れているところを他の労働者が発見し、救急搬送されたが、同日17時頃に死亡した。
24 8 地下鉄建設工事業 50歳代 不明 不明 被災者は8時30分からダンプの運転等の作業に従事していた。14時頃に体調不良等の症状を訴えたため、休憩所で休憩し、14時30分頃に作業再開した。作業が終了し、会社に戻り、帰宅するために車両の助手席に乗ったところ、意識を失い、救急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
25 8 その他の輸送用機械等製造業 60歳代 32.9℃ 31.0℃ 被災者は自転車の車輪軸を加工するねじ切り機の作業を行っており、17時の勤務終了後、帰宅するため、自転車にて事業場の最寄り駅まで移動したが、駅の駐輪場で自転車にうつ伏せとなって動けなくなっていた状態で発見され、救急搬送されたが、17日後に死亡した。
26 8 その他の建築工事業 60歳代 34.1℃ 30.8℃ 被災者は屋内の塗装作業を行っていた。15時頃から同僚と別の自動車内で30分ほど休憩し、同僚が被災者の様子を伺ったところ、車内で嘔吐していたため、救急搬送されたが、死亡した。
27 8 特定貨物自動車運送業 60歳代 32.6℃ 31.5℃ 被災者はガスボンベの輸送業務を行っており、12時45分頃、顧客から引き取って来た空のガスボンベ(重量約50kg)を、トラックの荷台からプラットホームへ下ろしていたところ、突然気分が悪くなったことからその場にゆっくりと倒れ込んだため、近くにいた同僚らにより救急搬送されたものの、当日、搬送先の病院において死亡した。
28 8 その他の事業 70歳代 30.9℃ 31.3℃ 被災者は事務所に出社し、ゴミ出し作業後、事務所から約75メートル離れた土手の草刈り作業を行っていた。13時50分頃、事務所搬入口へつながる農道を走行していたトラック運転手が、土手の上に腹這いになって倒れている被災者を発見。発見時既に意識はなく、消防が現着した時点で心肺停止の状態であり、搬送先の病院で同日に死亡した。
29 8 新聞販売業 80歳代 33.7℃ 32.3℃ 被災者は朝刊と夕刊の配達業務に従事していた。1時30分頃から3時頃にかけて朝刊の配達を行い、自宅に直帰した。その後、13時30分頃に再度出勤し、夕刊の配達を開始した。15時30分頃、配達エリア内にある公園のベンチで被災者が休んでいるところを通行人が発見し、救急搬送されたが、同日死亡した。
30 9 一般貨物自動車運送業 40歳代 29.6℃ 29.8℃ 被災者は13時30分頃から取引先工場建屋内において、天井クレーンを用いてトラックへパイプ束を積み込む作業で、トラックの荷台上で玉掛け作業に従事していた。作業終了後にパイプ束の荷締め等しないまま敷地内にトラックを停車させており、16時30分頃に同僚が様子を見に行ったところ、車内で仰向けになっている被災者を発見した。呼びかけるも応答がなく、救急車を呼ぶも、その場で死亡が確認された。

(注1)2025年1月7日時点の速報であり、今後、内容が修正されることがあり得る。
(注2)現場での気温が不明な事例には、気象庁ホームページで公表されている現場近隣の観測所における気温を参考値として示した。
(注3)現場での暑さ指数(WBGT)が不明な事例には、調査時に環境省熱中症予防情報サイトで公表されている現場近隣の観測所における暑さ指数(WBGT)を参考値として示した。

都道府県別の職場における熱中症による死亡者数(2011〜2020年)

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都道府
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
合計
1 北海道 1 1 1 1 1 5
2 青森 1 1 2
3 岩手 1 1 1 3
4 宮城 2 1 1 1 5
5 秋田 1 1 1 3
6 山形 0
7 福島 1 3 1 3 8
8 茨城 3 1 1 1 6
9 栃木 1 3 4
10 群馬 1 1
11 埼玉 2 1 1 1 1 1 7
12 千葉 1 2 1 2 5 11
13 東京 1 4 1 6
14 神奈川 2 3 1 4 1 1 12
15 新潟 2 2
16 富山 2 1 1 1 5
17 石川 1 1 1 3
18 福井 0
19 山梨 0
20 長野 1 1 1 1 4
21 岐阜 1 1 1 3
22 静岡 3 2 1 2 2 10
23 愛知 1 1 3 4 1 1 3 2 4 20
24 三重 2 2 3 1 1 9
25 滋賀 1 1 1 1 4
26 京都 1 1 1 3
27 大阪 1 1 2 2 2 1 3 2 1 15
28 兵庫 2 1 1 3 1 8
29 奈良 1 1
30 和歌山 2 2
31 鳥取 1 1
32 島根 0
33 岡山 2 2
34 広島 1 2 1 1 5
35 山口 1 1 2
36 徳島 0
37 香川 1 2 1 4
38 愛媛 2 1 1 1 5
39 高知 1 1
40 福岡 2 1 1 2 1 1 8
41 佐賀 0
42 長崎 2 1 1 1 5
43 熊本 1 1
44 大分 1 2 1 1 5
45 宮崎 1 1 1 3
46 鹿児島 1 1 1 1 4
47 沖縄 1 2 3
合計 18 21 30 12 29 12 14 28 25 22 211