熱中症とは

「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、循環調節や体温調節などの体内の重要な調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称です。
症状として、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温などが現われます。

熱中症の症状と分類

熱中症にはさまざまな症状が現れますので、それぞれに病名がつけられています。

熱失神 暑熱環境下で皮膚血流の著しい増加と多量の発汗とにより、相対的に脳への血流が一時的に減少することにより生ずる立ちくらみが起きる
熱けいれん 汗で失われた塩分が不足することにより生ずる筋肉のこむら返りや筋肉の痛みが出る
熱疲労 脱水が進行して、全身のだるさや集中力の低下した状態をいい、頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐などが起こる
熱射病 「熱疲労」を放置した状態。中枢神経症状や腎臓・肝臓機能障害、さらには血液凝固異常まで生じた状態のことで、普段と違う言動やふらつき、意識障害、全身のけいれん(ひきつけ)などが現れる

ただし、実際の現場では、これらの状態が混在して発生するので、熱中症が発生した時には、重症度にしたがって、下記のように、最近では軽症(Ⅰ度)、中等症(Ⅱ度)、重症(Ⅲ度)に分類しています。

熱中症の症状と分類(『日本救急医学会熱中症分類2015』より)

※横にスクロールします

症状 重症度 治療 臨床症状からの分類

Ⅰ度

(応急処置と見守り)
めまい、立ちくらみ、生あくび
大量の発汗
筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)
意識障害を認めない(JCS=0)
通常は現場で対応可能

→冷所での安静、体表冷却、経口的に水分とNaの補給
熱けいれん
熱失神

I度の症状が徐々に改善している場合のみ、現場の応急処置と見守りでOK

Ⅱ度

(医療機関へ)
頭痛、嘔吐、
倦怠感、虚脱感、
集中力や判断力の低下
(JCS≦1)
医療機関での診療が必要

→体温管理、安静、十分な水分とNaの補給(経口摂取が困難なときには点滴にて)
熱疲労

Ⅱ度の症状が出現したり、I度に改善が見られない場合、すぐ病院へ搬送する(周囲の人が判断)

Ⅲ度

(入院加療)
下記の3つのうちいずれかを含む

(C)中枢神経症状(意識障害JCS≧2、小脳症状、痙攣発作)(H/K)肝・腎機能障害(入院経過観察、入院加療が必要な程度の肝または腎障害)
(D)血液凝固異常(急性期DIC診断基準(日本救急医学会)にてDICと診断)⇒Ⅲ度の中でも重症型
入院加療(場合により集中治療)が必要

→体温管理(体表冷却に加え体内冷却、血管内冷却などを追加)呼吸、循環管理DIC治療
熱射病

Ⅲ度か否かは救急隊員や、病院到着後の診療・検査により診断される

日本救急医学会熱中症分類2015:付記

  • 暑熱環境に居る、あるいは居た後の体調不良はすべて熱中症の可能性がある。
  • 各重症度における症状は、よく見られる症状であって、その重症度では必ずそれが起こる、あるいは起こらなければ別の重症度に分類されるというものではない。
  • 熱中症の病態(重症度)は対処のタイミングや内容、患者側の条件により刻々変化する。特に意識障害の程度、体温(特に体表温)、発汗の程度などは、短時間で変化の程度が大きいので注意が必要である。
  • Ⅰ度は現場にて対処可能な病態、Ⅱ度は速やかに医療機関への受診が必要な病態、Ⅲ度は採血、医療者による判断により入院(場合により集中治療)が必要な病態である。そのため、予防が最も重要であることは論を待たないが、早期認識、早期治療で重症化を防げれば、死に至ることを回避できる。
  • 欧米で使用される臨床症状からの分類を右端に併記する。
  • Ⅲ度は記載法としてⅢC、ⅢH、ⅢHK、ⅢCHKDなど障害臓器の頭文字を右下に追記
  • 治療にあたっては、労作性非労作性(古典的)かの鑑別をまず行うことで、その後の治療方針の決定、合併症管理、予後予想の助けとなる。
  • DICは他の臓器障害に合併することがほとんどで、発症時には最重症と考えて集中治療室などで治療にあたる。
  • これは、安岡らの分類を基に、臨床データに照らしつつ一般市民、病院前救護、医療機関による診断とケアについてわかりやすく改訂したものであり、今後さらなる変更の可能性がある。

熱中症者への対応

熱中症が疑われる人を見かけた場合の対応手順を紹介します。その人の状態やその場の環境によりますが、まず下記の手順で応急処置を行いましょう。

①意識を確認する。意識がはっきりしていなければただちに救急隊を要請

②意識がはっきりしている場合は

  • 涼しい場所(エアコンの効いた室内、風通しの良い日陰など)へ避難させる
  • 衣服をゆるめ、からだを冷やす(特に首の回り、脇の下、足の付け根など)
  • 水分・塩分、経口補水液(水に食塩とブドウ糖を溶かしたもの)などを補給する自力で水分がとれなければ、ただちに救急隊を要請

熱中症の発生状況(2014~2023年)

職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数(以下合わせて「死傷者数」という。)は、令和5年(2023年)に1,106人となった。うち死亡者数は31人となっている。

職場における熱中症による死傷者数の推移(2014~2023年)

※横にスクロールします

(人)

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
423
(12)
464
(29)
462
(12)
544
(14)
1,178
(28)
829
(25)
959
(22)
561
(20)
827
(30)
1,106
(36)

※()内の数値は死亡者数であり、死傷者数の内数である。

職場における熱中症による死傷者数の推移

職場における熱中症による死傷者数の推移

熱中症の業種別発生状況(2019~2023年)

2019年以降の業種別の熱中症の死傷者数をみると、建設業、次いで製造業で多く発生していた。

2023年の死亡災害については、建設業において12件と最も多く発生していた。

熱中症による死傷者数の業種別の状況(2019~2023年)

※横にスクロールします

(人)

業種 建設業 製造業 運送業 警備業 商業 清掃・
と畜業
農業 林業 その他
2019年 153
(10)
184
(4)
110
(2)
73
(4)
87
(1)
61
(0)
19
(0)
7
(0)
135
(4)
829
(25)
2020年 215
(7)
199
(6)
137
(0)
82
(1)
78
(2)
61
(4)
14
(1)
7
(0)
166
(1)
959
(22)
2021年 130
(11)
87
(2)
61
(1)
68
(1)
63
(3)
31
(0)
14
(2)
7
(0)
100
(0)
561
(20)
2022年 179
(14)
145
(2)
129
(1)
91
(6)
82
(2)
58
(2)
21
(2)
6
(0)
116
(1)
827
(30)
2023年 209
(12)
231
(4)
146
(1)
114
(6)
125
(3)
61
(0)
27
(4)
9
(0)
184
(1)
1,106
(31)
886
(54)
846
(18)
583
(5)
428
(18)
435
(11)
272
(6)
95
(9)
36
(0)
701
(7)
4,282
(128)

※()内の数値は死亡者数で内数である。

熱中症による業種別死傷者数の割合(2019~2023年計)

熱中症による業種別死傷者数の割合(2019~2023年計)

熱中症による業種別死傷者数(2019~2023年計)

熱中症による業種別死傷者数(2019~2023年計)

月・時間帯・年齢別発生状況(2019~2023年)

1.月別発生状況

2019年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、全体の約8割が7月及び8月に発生していた。

熱中症による死傷者数の月別の状況(2019~2023年)

※横にスクロールします

(人)

4月
以前
5月 6月 7月 8月 9月 10月
以降
2019年 1
(0)
29
(0)
45
(1)
177
(5)
472
(15)
97
(3)
8
(1)
829
(25)
2020年 2
(0)
16
(1)
85
(0)
115
(4)
651
(16)
84
(1)
6
(0)
959
(22)
2021年 4
(0)
7
(1)
41
(0)
213
(7)
269
(12)
20
(0)
7
(0)
561
(20)
2022年 2
(0)
14
(0)
184
(10)
291
(9)
280
(10)
46
(1)
10
(0)
827
(30)
2023年 5
(0)
21
(0)
63
(1)
431
(18)
493
(10)
86
(2)
7
(0)
1,106
(31)
14
(0)
87
(2)
418
(12)
1,227
(43)
2,165
(63)
333
(7)
38
(1)
4,282
(128)

※4月以前は1月から4月まで、10月以降は10月から12月までを指す。

※()内の数値は死亡者数で内数である。

熱中症による月別死傷者数(2021~2023年計)

熱中症による月別死傷者数(2021~2023年計)

熱中症による月別死傷者数(2019~2023年計)

熱中症による業種別死傷者数(2019~2023年計)

2.時間帯別発生状況

2019年以降の時間帯別の熱中症の死傷者数をみると、15時台が最も多く、次いで11時台が多くなっていた。なお、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも散見された。

熱中症による死傷者数の時間帯別の状況(2019~2023年)

※横にスクロールします

(人)

9時台
以前
10時台 11時台 12時台 13時台 14時台 15時台 16時台 17時台 18時台
以降
2019年 92
(1)
69
(3)
93
(2)
56
(1)
75
(4)
109
(6)
114
(3)
94
(0)
55
(3)
72
(2)
829
(25)
2020年 104
(2)
102
(3)
119
(0)
86
(3)
73
(4)
116
(3)
124
(2)
92
(4)
61
(0)
82
(1)
959
(22)
2021年 48
(0)
56
(1)
74
(3)
53
(4)
47
(3)
63
(3)
73
(0)
61
(3)
38
(3)
48
(0)
561
(20)
2022年 100
(1)
78
(3)
87
(1)
53
(3)
74
(2)
115
(3)
106
(6)
92
(2)
55
(5)
67
(4)
827
(30)
2023年 143
(4)
118
(2)
155
(6)
104
(1)
72
(0)
124
(5)
123
(2)
105
(1)
76
(8)
86
(2)
1,106
(31)
487
(8)
423
(12)
528
(12)
352
(12)
341
(13)
527
(20)
540
(13)
444
(10)
258
(19)
355
(9)
4,282
(128)

※9時台以前は0時台から9時台まで、18時台以降は18時台から23時台までを指す。

※()内の数値は死亡者数で内数である。

熱中症による時間帯別死傷者数(2019~2023年計)

熱中症による時間帯別死傷者数(2019~2023年計)

3.年齢別発生状況

2019年以降の年齢別の熱中症の死傷者数をみると、全体の約5割が50歳以上となっていた。

熱中症による死傷者数の年齢別の状況(2019~2023年)

※横にスクロールします

(人)

19歳
以下
20~
24歳
25~
29歳
30~
34歳
35~
39歳
40~
44歳
45~
49歳
50~
54歳
55~
59歳
60~
64歳
65歳
以上
2019年 18
(0)
57
(0)
53
(1)
55
(2)
58
(0)
79
(3)
117
(9)
98
(3)
111
(3)
69
(1)
114
(3)
829
(25)
2020年 24
(0)
54
(0)
51
(0)
56
(1)
82
(2)
87
(5)
134
(2)
123
(4)
105
(2)
93
(3)
150
(3)
959
(22)
2021年 12
(1)
46
(0)
25
(0)
41
(0)
36
(2)
53
(2)
69
(3)
65
(3)
70
(4)
58
(1)
86
(4)
561
(20)
2022年 10
(0)
39
(2)
72
(1)
62
(3)
69
(1)
72
(1)
103
(5)
93
(3)
94
(4)
87
(3)
126
(7)
827
(30)
2023年 20
(0)
80
(2)
71
(2)
48
(0)
88
(1)
90
(6)
122
(1)
136
(4)
133
(4)
120
(4)
198
(7)
1,106
(31)
84
(1)
276
(4)
272
(4)
262
(6)
333
(6)
381
(17)
545
(20)
515
(17)
513
(17)
427
(12)
674
(24)
4,282
(128)

※()内の数値は死亡者数で内数である。

熱中症による年齢別死傷者数の割合(2019~2023年計)

熱中症による年齢別死傷者数の割合(2019~2023年計)

2023年の熱中症による死亡災害の事例

【死亡災害全体の概要】

  • 総数は31件で、被災者は男性30名、女性1名であった。
  • 発症時・緊急時の措置の確認・周知していたことを確認できなかった事例が28件あった。
  • 暑さ指数(WBGT)の把握を確認できなかった事例が25件あった。
  • 熱中症予防のための労働衛生教育の実施を確認できなかった事例が18件あった。
  • 糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病や所見を有している事が明らかな事例は12件あった。

【事案の詳細】

※横にスクロールします

番号 業種 年代 気温
(注2)
暑さ指数
(WBGT)
(注3)
事案の概要
1 6 警備業 80歳代 27.0℃ 26.3℃ 被災者は屋外の工事現場で警備業務に従事していた。途中で20分の休憩を取り、現場に戻った際にふらついて後方に倒れた。意識があり、日陰で1時間休憩後、タクシーで病院へ行き、その後病院で死亡した。
2 7 農業 60歳代 28.8℃ 26.1℃ 被災者は単独で8時20分過ぎから水田の草刈り業務に従事していた。通行人が0時26分頃に仰向けになって倒れている被災者を発見し、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。
3 7 小売業 50歳代 30.7℃ 不明 被災者は単独で店舗の奥にある作業場で翌日の仕込み作業を行っていた。15時20分頃被災者から取締役へ電話があり、取締役が店舗に行くと仰向けで倒れている被災者を発見し、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
4 7 道路等のほ装事業 20歳代 32.0℃ 28~31℃ 被災者は8時15分頃から道路のアスファルト舗装の補助作業に従事していた。14時頃被災者は作業に必要な用具を持ち上げようとした際に転倒し、10分程度脇や首を冷やした後、病院へ連れて行ったが、搬送先の病院で死亡した。
5 7 その他の建築業 60歳代 27.1℃ 29℃ 被災者は9時から道路の草刈り及び集草業務に従事していた。10時から30分休憩取得後に被災者がいないことに気づき、休憩場所から10mほど離れた道路で仰向けになって倒れている被災者を発見し、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。
6 7 警備業 70歳代 32.0℃ 不明 被災者は4時過ぎからボイラー室内においてボイラー運転業務を行っていた。8時頃に机に伏せる状態で発見され、その後病院に救急搬送されたが、脱水症状があり、搬送先の病院で死亡した。
7 7 電気設備工事業 60歳代 30.4℃ 26.7℃ 被災者は10時から同僚と2人で個人宅へ家電の配送、設置を行っていた。7件の配送業務を終え、16時45分に店舗に戻った際に胸の痛みを訴えたため、同僚が病院へ連れて行ったところ、その後病院で死亡した。
8 7 農業 20歳代 33.1℃ 31.0℃ 被災者は農地において草刈り業務に従事していた。離れて作業していた同僚が被災者の作業場所に行くと倒れている被災者を発見し、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
9 7 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 50歳代 30.3℃ 30.3℃ 被災者は8時15分頃からの型枠取り付け業務に従事していた。適宜休憩を取りながら作業していたが14時50分頃事業主から体調不良を指摘され休憩に向かったが、15時頃に同僚が倒れている被災者を発見し、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
10 7 新聞小売業 50歳代 36.8℃ 31.7℃ 被災者はオートバイで夕刊の配達を行っていた。配達先の敷地内で倒れているところを発見され、救急搬送されたが、その後搬送先の病院で熱中症のため死亡した。
11 7 卸売業 40歳代 30.9℃ 31.3℃ 被災者は8時20分頃から近隣の工場から出る金属くず回収業務に従事していた。2回目の回収を行ったあとに10時頃に休憩に向かったが、戻って来なかったため同僚が探しに行くとうつ伏せの状態で倒れており、救急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
12 7 コンクリート製品製造業 60歳代 33.9℃ 30.7℃ 被災者は7時からフォークリフトを用いてコンクリート製品の運搬業務に従事していた。15時の休憩後に作業を再開していたが、フォークリフトが長時間止まっていることに不審に思い、様子を見に来た同僚が倒れている被災者を発見し、救急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
13 7 土地整理土木工事業 50歳代 29.9℃ 30.8℃ 被災者は午前8時から正午過ぎまで建設現場の水路敷設作業補助業務に従事した。午後からは16時まで自由に待機し、帰宅した。被災者は作業中に体調不良を申し出なかったが、19時25分頃に同居する同僚が被災者の様子がおかしいことに気づき、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
14 7 土地整理土木工事業 50歳代 31.6℃ 27.4℃ 被災者は8時30分から17時頃まで適宜休憩をとりながら住宅造成工事現場にて外周擁壁に係る型枠組み立て作業に従事していた。17時15分頃作業終了後の片付け中に被災者が急にふらつき、地面に横たわったため水分補給させていたが、17時47分頃被災者からの応答がなくなり、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
15 7 農業 70歳代 32.8℃ 不明 被災者は8時から代表とスポーツ施設敷地内で剪定等の植栽管理作業に従事していた。10時の休憩後の代表が別現場へ行き、単独で作業を続け、代表が11時40分頃に戻ったところ被災者が地面に倒れていたため、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
16 7 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 40歳代 36.5℃ 29.5℃ 被災者は8時からマンション建替工事現場にて雑作業に従事していた。被災者は14時40分頃に作業が終わり、休憩場所に向かったが、14時46分頃休憩場所の階段付近で倒れているところを発見され、水分補給や身体冷却を実施しても症状が改善されなかったため、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
17 7 警備業 50歳代 31.7℃ 不明 被災者は8時から17時まで道路改良工事現場で警備業務に従事していた。被災者が17時頃に待機していたところ、突然地面に倒れ込んだため、水分補給していたところ、17時11分頃に意識を失ったため、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
18 7 警備業 40歳代 32.0℃ 30.8℃ 被災者は11時頃から一般通行車両等の交通誘導を行っていた。11時30分頃、作業が終了した際に、同僚が被災者の体調異変に気付き、車内に移動させようとしたところ、被災者は意識を失い病院に搬送されたが、死亡した。
19 7 その他の土木工事業 70歳代 30.8℃ 30.7℃ 被災者は8時30分頃からドラグ・ショベルを使用して掘削作業等を行った後、9時15分頃に事業主とドラグ・ショベルの運転を交替後、被災者は掘削箇所の高さ等を見る作業を行っていたが、10時頃、地面に横たわっているのを発見され、緊急搬送されたが、後日搬入先の病院で死亡した。
20 8 警備業 50歳代 35℃ 不明 被災者は8時から工事現場(道路上)で交通誘導の業務に従事していた。15時頃に体調が悪くなったため、現場を早退したが、帰宅途中の駅で倒れ、病院に救急搬送されたが、翌日搬入先の病院で死亡した。
21 8 繊維製品製造業 30歳代 33.8℃ 30.6℃ 被災者は8時から17時まで自動車吸音材製造工場内にて製造業務に従事していた。被災者は作業中に体調不良を訴えていなかったが、17時過ぎに自転車で帰宅していたところ、事業場より約500メートル先の農道で倒れ、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
22 8 鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業 50歳代 31.2℃ 27.8℃ 被災者は8時30分から17時まで新築ビルの内装作業に伴う養生の準備及び撤去作業に従事していた。17時30分頃にゴミを撤去したところ歩道上で倒れ、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
23 8 上下水道工事業 60歳代 31.1℃ 不明 被災者は9時30分から水道管敷設のために重機で掘削作業に従事していた。14時30分頃体調不良で休憩をとったが、業務を再開し休憩を取りながら業務を続けていた。17時50分頃片付け中に被災者が立ち上がろうとしたときに、仰向けに倒れ、緊急搬送されたが、後日搬送先の病院で死亡した。
24 8 工作物の解体事業 40歳代 34.6℃ 32.6℃ 被災者は8時から建屋の内部を手作業で解体していた。作業開始後すぐに被災者は体調不良を訴え、14時頃まで作業と休憩を繰り返す状況が続き、その後は車で休んでいた。同僚が作業を中止し片付けを行っていると、15時20分頃に被災者が倒れ、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
25 8 ゴルフ場の事業 60歳代 34.9℃ 32.9℃ 被災者は8時頃からほうきで事業場内を掃除し、9時頃から木材の運搬作業に従事していた。11時頃に被災者が運搬予定の木材の上に倒れ込んだため、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
26 8 土木建築工事業 20歳代 36.0℃ 31.1℃ 被災者は8時頃から16時まで水路の除草作業に従事していた。除草用具の片付け作業をしていると、被災者の姿が見当たらず、16時30分頃にうつ伏せの状態で倒れていたのが見つかり、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
27 8 一般貨物自動車運送業 40歳代 31.5℃ 29.3℃ 被災者は8時頃から倉庫で荷のピッキング作業に従事していた。適宜休憩を取りながら作業を続けていたが、11時50分頃に被災者が倉庫内で倒れている状態で発見され、保冷剤で首等を身体冷却したあとに緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
28 8 機械器具製造業 40歳代 28.4℃ 不明 被災者は出張先へ9時に訪問すべく、8時35分にホテルを出て徒歩で出張先へ向かった。9時30分頃道路上で被災者が意識混濁の状態で倒れているところを通行人が発見し、緊急搬送されたが、その後搬送先の病院で死亡した。
29 8 ガラス製品製造業 20歳代 29.0℃ 27.2℃ 被災者は8時50分頃から板ガラスの切断作業に従事していた。18時30分頃まで適宜休憩を取りながら同業務に従事していたが、上司が被災者の様子がおかしいことに気づき、帰宅を指示した。19時頃に帰社し、19時10分頃被災者が倒れているところを通行人が発見し、緊急搬送されたが、搬送先の病院で死亡した。
30 9 警備業 60歳代 31.8℃ 29.3℃ 被災者は8時30分から道路拡幅工事現場で交通誘導業務に従事していた。適宜休憩をとりながら作業し、11時に休憩場所へ向かったが、11時35分頃休憩所近くで倒れている姿を発見され、緊急搬送されたが、その後搬送先の病院で死亡した。
31 9 農業 40歳代 27.7℃ 29.3℃ 被災者は単独で農業用配管の敷設作業を行っていた。8時50分頃に代表が作業の進捗確認のために事業場を訪れると被災者が横向きに倒れており、緊急搬送要請したが、その場で死亡が確認された。

(注1)現場での気温が不明な事例には、気象庁ホームページで公表されている現場近隣の観測所における気温を参考値として示した。
(注2)現場での暑さ指数(WBGT)が不明な事例には、調査時に環境省熱中症予防情報サイトで公表されている現場近隣の観測所における暑さ指数(WBGT)を参考値として示した。

都道府県別の職場における熱中症による死亡者数(2011〜2020年)

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都道府
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
合計
1 北海道 1 1 1 1 1 5
2 青森 1 1 2
3 岩手 1 1 1 3
4 宮城 2 1 1 1 5
5 秋田 1 1 1 3
6 山形 0
7 福島 1 3 1 3 8
8 茨城 3 1 1 1 6
9 栃木 1 3 4
10 群馬 1 1
11 埼玉 2 1 1 1 1 1 7
12 千葉 1 2 1 2 5 11
13 東京 1 4 1 6
14 神奈川 2 3 1 4 1 1 12
15 新潟 2 2
16 富山 2 1 1 1 5
17 石川 1 1 1 3
18 福井 0
19 山梨 0
20 長野 1 1 1 1 4
21 岐阜 1 1 1 3
22 静岡 3 2 1 2 2 10
23 愛知 1 1 3 4 1 1 3 2 4 20
24 三重 2 2 3 1 1 9
25 滋賀 1 1 1 1 4
26 京都 1 1 1 3
27 大阪 1 1 2 2 2 1 3 2 1 15
28 兵庫 2 1 1 3 1 8
29 奈良 1 1
30 和歌山 2 2
31 鳥取 1 1
32 島根 0
33 岡山 2 2
34 広島 1 2 1 1 5
35 山口 1 1 2
36 徳島 0
37 香川 1 2 1 4
38 愛媛 2 1 1 1 5
39 高知 1 1
40 福岡 2 1 1 2 1 1 8
41 佐賀 0
42 長崎 2 1 1 1 5
43 熊本 1 1
44 大分 1 2 1 1 5
45 宮崎 1 1 1 3
46 鹿児島 1 1 1 1 4
47 沖縄 1 2 3
合計 18 21 30 12 29 12 14 28 25 22 211